コロナ禍の働き方の変容による心身不調・生活習慣の変化についての調査結果を発表 〜カラダの不調を67%、ココロの不調を36%の方が実感〜

高ストレス対策・労働生産性向上を支援する「ポケットセラピスト」を提供する株式会社バックテック(本社:京都府京都市、代表取締役:福谷直人 以下:バックテック)は、産業医科大学及び京都大学と共同研究を実施し、コロナ禍の働き方における心身不調や生活習慣の変化についての調査結果をまとめたので報告いたします。
なお、これらのデータは、学術雑誌であるPLoS One(PMID: 34624027)、Journal of Occupational and Environmental Medicine(PMID:34419985)に英文にて掲載されており、本資料は、日本社会へのさらなる貢献として、それらを日本語訳した情報になります。
研究概要
【定義】
・OO(オフィス-オフィス)グループ :緊急事態宣言(以下、宣言)前後ともにオフィスで働いていた労働者
・OT(オフィス-テレワーク)グループ :宣言をきっかけにオフィスからテレワークに切り替えた労働者
・TT(テレワーク-テレワーク)グループ :宣言前からテレワークを継続していた労働者
【対象者】
・OOグループは86人(4.6%)、OTグループは1597人(84.2%)、TTグループは213人(11.2%)でした。
【調査時期】
・2020年6〜9月
【調査項目(2020年4〜5月時点・2020年6〜9月時点をそれぞれ調査)】
・テレワークの満足度
・カラダの不調を抱える労働者の割合の変化
・テレワーク頻度とカラダの不調との関連
・ココロの不調(抑うつ・不安)を抱える労働者の割合
・運動量の変化
調査結果
【宣言中におけるテレワークの満足度】
・テレワーク実施率は全体で95.4%であり、テレワークを満足(※)と回答した労働者の割合は、TTグループの労働者の方が多く、OTグループに比べて約21%高い結果となりました(図1)。一方、テレワークを不満と回答した労働者の割合は、OTグループの労働者の方が、TTグループに比べて約13%多い結果となりました(図2)。テレワークの不満に関するアンケートの結果、OTグループでは「整っていないデスク環境(40.4%)」、「情報ツールがない(37.2%)」、「仕事部屋がない(32.6%)」の順に理由として多く、TTグループでは、「不満なことがない(37.6%)」が最も多く、次いで「整っていないデスク環境(31.0%)」、「情報ツールがない(29.1%)」でした。
(※)テレワークの満足度を【満足・どちらでもない・不満】から回答
【宣言前後におけるカラダの不調を抱える労働者の割合の変化】
・3つのグループすべてでカラダの不調を抱える労働者の割合は増加し、OTグループ、TTグループでは有意でした(p<0.01)(図3)。多く報告された症状トップ3は、眼精疲労(35%)、肩こり(34%)、腰痛(25.6%)でした(図4)。
【テレワーク頻度とカラダの不調との関連(図5)】
・対象となる労働者917名のうち、宣言中(2020年4〜5月)のテレワーク頻度は「0日/週」の者が85人(9.3%)、「1~2日/週」の者が144人(15.7%)、「3~4日/週」の者が211人(23.0%)、「5日以上/週」の者が477名(52.0%)でした。
・肩こり:テレワーク日数が「0日(18.6%)」の労働者と比較して、「週に3-4日(35.4%)」「5日以上(40.7%)」の労働者では肩こりを有している割合が有意に高いことが分かりました(p<0.05)。
・眼精疲労:テレワーク日数が「0日(10.5%)」の労働者と比較して、「週に1-2日(30.6%)」「週に3-4日(33.2%)」「5日以上(36.9%)」の労働者では眼精疲労を有している割合が有意に高いことが分かりました(p<0.05)。
・腰痛:テレワーク日数が「0日(14.1%)」の労働者と比較して、「週に1-2日(29.9%)」「週に3-4日(27.0%)」「5日以上(30.2%)」の労働者では腰痛を有している割合が有意に高いことが分かりました(p<0.05)。
【宣言後とCOVID-19流行前のココロの不調(抑うつ・不安)を抱える労働者の割合(図6)】
・日本語版Kessler Psychological Distress Scale(K6)の結果より、宣言後、OOグループの31.4%、OTグループの36.7%、TTグループの30.5%に抑うつ傾向や不安が認められました(点数≧5点)。OTグループはTTグループと比較して、6.7%高いことがわかりました(p=0.007)。またOTグループでは、COVID-19流行前と比べて増加傾向にありました。
・過去30日間で「ストレスを感じたことがある」と回答したのは86.8%におよび、ストレスの主な理由としては、「外出ができない(20%)」、「COVID-19への不安(11%)」、「同僚とのコミュニケーション不足(10.5%)」が挙げられました。
【宣言後の運動量の変化(図7)】
・OOグループでは、宣言前後で運動量(※)に変化がない労働者が一番多く、57.2%でした。
・OTグループの67.3%、TTグループの76.4%が、運動量が減少しました。
まとめ
・対象者1,896名のうち、1,597人の労働者(84.2%)が宣言をきっかけにテレワークに切り替わりました。
・テレワークを不満と回答した労働者の割合は、OTグループの方が、TTグループに比べて約13%多い結果となりました。テレワークの不満に関するアンケートの結果、OTグループでは「整っていないデスク環境(40.4%)」、「情報ツールがない(37.2%)」、「仕事部屋がない(32.6%)」の順に、理由として多く挙がりました。
・宣言後におけるカラダの不調を抱える労働者の割合は、OOグループ、OTグループ、TTグループ、3つのグループすべてで増加し、OTグループ、TTグループでは宣言前後で有意に増加していました(p<0.01)。多く報告された症状トップ3は、眼精疲労(35%)、肩こり(34%)、腰痛(25.6%)でした。
・テレワーク頻度の増加に伴い、カラダの不調を抱える労働者が多いことがわかりました。
・テレワークをしている労働者の約30%に抑うつ・不安の傾向が認められました。OTグループとTTグループでは、OTグループで有意に深刻な不安や抑うつを示しました(p=0.007)。
・OTグループの67.3%、TTグループの76.4%で、運動量が減少しました。
・本調査報告の限界として、対象者が当社サービスを契約されている企業の労働者であり、研究結果に偏りがある可能性がありました。
今回の調査結果から、昨今のコロナ禍においてテレワークを余儀なくされている労働者の作業環境や眼精疲労をはじめとするカラダの症状、メンタルヘルスへの対策を講じる必要があり、かつ重要であると考えられます。健康経営施策のための一助としてご活用いただけると幸いです。
今回の調査詳細
雑誌名:Journal of Occupational and Environmental Medicine(JOEM)
タイトル:Association between abrupt change to teleworking and physical symptoms during the coronavirus disease 2019 (COVID-19) emergency declaration in Japan
著者:Masato Tezuka,Tomohisa Nagata,Kenta Saeki et al.
URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34419985/
雑誌名:PLoS One
タイトル:Health effects of immediate telework introduction during the COVID-19 era in Japan: A cross-sectional study.
著者:Qian Niu,Tomohisa Nagata,Naoto Fukutani et al.
URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34624027/
【バックテックについて】https://www.backtech.co.jp/
バックテックは、肩こり・腰痛を切り口としたメンタル不調対策サービス『ポケットセラピスト』を通して、「カラダとココロの痛み」を解決し、組織の生産性向上(実績:5.7万/人/月の生産性向上)や医療費削減(実績:70%カット)を支援しています。
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■株式会社バックテック
理念「全人類が健康に活き活きと暮らし、社会に貢献できる世界をつくる」
所在地:京都市下京区烏丸通仏光寺下ル大政所町680-1
設立:2016年4月
代表者:代表取締役社長 福谷 直人
事業内容:健康経営・コラボヘルスの支援事業
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本プレスリリースに関するお問い合わせ先
株式会社バックテック 広報:太田 info@backtech.co.jp
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